<移住のきっかけ>
(久美子さん)以前は東京や葉山に住んでいましたが、元々自然の豊かな田舎に住みたい気持ちがあり、震災を機に「いつなにが起こるかわからない」と感じた上で「今この瞬間に自分が何がしたいのか」という気持ちと真剣に向き合うようになり、移住を考えました。関東にいる頃から自分が食べるくらいの野菜やハーブが作れるようになったらどんなに食が豊かになるだろうと思っていたので、ここ市木には私達がチャレンジしたい事に対しての受け皿、その環境が揃っていると感じたのです。現在は猫4匹と楽しく暮らしています。
(輝彦さん)林業に興味があり、林業が盛んな高知や宮崎を下見し、ゲストハウスをまわるうち「串間市の市木」は良い所だよ、という話を良く耳にしました。神奈川に住んでいた時は、朝の8時から夜の10時迄働く日々が続き、人生の中で「本当に自分はなにがしたいのか?」強く考えるようになりました。そんな中、海もあり、山もある市木に林業の会社を発見。面接の時に初めて市木に来て、国道沿いから見える風景に2人で感動し、移住を決めました。
<移住後の生活>
(輝彦さん)住む家も見つかり、林業も始めました。移住後は、「自分に何が向いていて、何が向いていないか」を試される毎日で、色々な暮らしの物事に挑戦出来るので面白いです。例えば薪風呂を湧かしたり。生活インフラが整っている都会の暮らしから離れ、生きる力がつきました。FacebookやTwitterなどのSNSやLCC(格安航空会社)が台頭して来ている中で、都会との物理的・心理的距離をあまり感じなくなりました。
(久美子さん)葉山にいる頃から「ponchice/ポンチセ(アイヌ語で小さな家という意味)」という屋号でケータリング活動をしていました。こちらにきてしばらくは休止しておりましたが、2013年3月、ヴィーガンマフィン・コーヒーをメインに活動を再開。ささやかだけど生活を丁寧に大切にする気持ちを伝えたくて、何より体に気持ちいい環境に優しいことを伝えたくて。人が大好きな私たちなので販売を通していろんな人と交流し、繋がることを大事に考え、今の出店という形式で活動しています。
<移住後に感じた、宮崎の良い所>
(輝彦さん)海も山もあって自然が豊かな所です。陽気もそうですが人もとてもあたたかい。子供達も進んで挨拶をしてくれます。これは東京ではありえなかった事で、祖父母世代ともこんなに触れ合う機会はありませんでした。地元の方はよく笑い、健康体で、人生を楽しんでるように思います。横の繋がりを大切にし、今を思いっきり楽しむ。
市木に住む人たちは価値観が似ているように思いました。移住後の苦労話 (輝彦さん)例えば蛇口をひねってもお湯が出なかったり、今までスイッチ1つで出来ていた事が、薪を燃やさないといけなかったりする中で、大変だと感じる事はありますが、それを苦労だと感じた事はありません。薪風呂だからこその良さもありますし、当たり前が当たり前では無いという事に気がつけました。自分の好きなように、自分の生活をクリエイトしようと思えばとことん出来ます。
移住後の苦労話
(久美子さん)実は移住開始日に始めて住む家と対面しました。当初は抜けそうな床やボットン便所にどうしても慣れず公衆トイレに通ってたほどでしたが(笑)それもすぐに慣れ今は不便なのを楽しんでいます。ここでの暮らしは余計な雑音がありません。自然のリズムで暮らす生活です。ただ逆にいうと外との繋がりが希薄になりがちな面を持っています。私にとって文化に触れることもまた必要不可欠要素で、大好きな本屋さんに1時間以上かけて行ったり、人の集まる都心にでて色んな事に触れる機会をあえて持つようにしています。そういう絶妙なバランスがとても大事に思うのです。
<移住希望者へのアドバイス>
(輝彦さん、久美子さん)移住の目的をはっきり持つ事が大事だと思います。色々な物事に挑戦できる環境だと思うので、シンプルに自分の心に「あなたの本当にやりたい事はなんですか?」と問いかけてみてください。それに合う環境の所に住めば良いと思います。スローライフをイメージする方も多いですが、いざ生活していみると、思っていた事と違う事も沢山出てくると思います。形だけのスローライフではなくて、決意を決めた上で住むのならここは楽園だと思います。人生はまだ旅の途中なので、この先になにがあるか分かりませんが、身の丈にあった自分たちらしい生活スタイルを追求したい人にこそぜひ、来て欲しいと思います。宮崎でしたら凍え死ぬ事もありませんし、人も気候もあったかいので、大丈夫です。なんとかなります。