<移住の経緯>
3.11の震災から1年後に家族で移住しました。震災後しばらく妻と子供は指宿(鹿児島)にある妻の祖母の元に避難生活をしていて、その中で『なぜ東京での生活にこだわる必要があるのか?』と考えました。
SNS で 移住情報の収拾を行う中で、偶然にも都内で同じ保育園に子供を通わせていて宮崎に移住を決めた方がいて、移住先の下見に来た際に『うみがめのた まご』という震災後に宮崎へ移住した母親達が作った交流会に声をかけて頂きました。同じ境遇と気持ちを共有出来る空間があることも、宮崎に移住を 決めた1つの理由でした。身寄りのない土地に、一人でも移住先に知り合いがいるという状況はとても心強かったです。
私は東京の生まれ育ちで、『良い会社で高い年収を得る事が人生の勝者だ』という考えを持っていましたが、宮崎の人々が収入云々でなく皆楽しそうに生活している様子を見て、お金じゃない価値観に気づきました。
移住先は九州の市街地を中心に探していましたが、自然がたくさんあって子育てにはとても良い環境だし、やりたかったサーフィンも出来る宮崎が良いと思い移住を決めました。
元々大企業に勤めていたので、社内の人事による異動でもよかったのですが、これからの時代を生き抜くために必要な3つの経験を積みたいと思い、転職することにしました。
<移住後の生活>
3.11の震災を経験してから、これまでお金で解決してきたことを、なるべく自分たちで賄うような生活がしたいと考えました。仕事をしながらそういった知識を蓄えるべく、地域活動家のブログを見たり、独立型のソーラーパネルを作成して電力を自給したり、ロケットストーブを作成したり、暮らしの自給力を高めるような生活をしています。いつ何が起こるかわからない状況で、お金や大きな都市システムに依存して都心に住み続けるか、仕事での収入は減ったとしても、生活する上での必要経費は少なく、楽しみながら暮らす地方のライフスタイルのどちらに価値を感じるかだと思います。
<移住してわかった、宮崎の良い所>
海も山も近くにありますし、アクティビティがとても豊富だと感じます。地元の方は『宮崎には何もない』とよく言いますが、人工物の多い東京で育った私からすると宮崎の自然の豊かさは資産であり、財産です。
例えば野菜等の食べ物を自給できる環境は、東京では滅多にありません。自給する事で、お金が無い事に対しての恐怖心がだいぶ減りました。ス トレスを溜めながら仕事をした対価としてお金を得て、逆にストレスを発散する為にお金を使う様な生活をしていたら、何の為に働いているのか分からなくなっ てきますよね。だから、年収ベースではなく、自由に使えるお金(手取りから家賃・光熱費などを除いた金額)と時間で考えるようになりました。そのほ うが楽しいし健康的ですし、食物が自分で自給出来るなら、その分支出も減ります。加えて家賃も都会に比べて安く、年収が低くなったとしても自由に 使えるお金があまり変わらなければ、大して問題無いと考えるようになりました。また、時間は有限ですから、自らやりたい事をしながら稼いだお金の 方が、尚更良いと思います。宮崎に来て『自分のやりたい事をやっている人が多いな』と感じます。地方と言ってもITの発達で、場所はどこでもあまり関係なくなってきています。
<移住後の苦労話>
はじめは宮崎の人たちの生活スタイルを掴む事が大変でした。移住するにあたって、みんながどのように通勤して、どのような1日の使い方をしているのかが分からず、少し困りました。たとえば、宮崎で車通勤している人は、飲み会の帰りは運転代行を利用しますが、東京にはその文化は無く、タクシーを利用していました。また昼休み時間に一度帰宅して自転車に乗り換えてきたり等、最初は宮崎のライフスタイルに馴染む事に苦労しました。
<移住を検討中の方へのアドバイス>
仕 事の年収ベースを生活水準とするのではなく、生活する上での必要経費を除いた自由に使えるお金と、やりたいことに使える時間がどの程度あるかを基準に して、ライフスタイルを考えるのも良いと思います。宮崎は満員電車での通勤ストレスもなく、通勤時間も短いです。海も山もあるし、身近に食べ物も沢山あ るし、自分たちで食べ物を自給する事も可能です。特に大企業等に勤めていると、個人の価値が薄まると感じる事もありますが、関東の企業で学んだノウハウを地域で発揮出来るようなチャンスは、宮崎なら多分にあると思います。逆に地方にはまた違った能力を持っているけど、発揮できていない人はたくさんいるので、お互いが持つ力を合わせれば、大きな価値を作れると考えています。
震災後、仕事や暮らしに対する価値観は変わって来ていますし、SNSの浸透により、距離に関係なく誰とでもコミュニケーションがいつでもどこでも取れるようになってきました。「年収」「やりがい」「家族との時間」「趣味」など、何が自分にとって一番重要な価値か?を一度見つめ直してみると、良いかもしれません。
食べ物が自給できれば、「お金」に対する恐怖心もだいぶ和らぎます。例えばビジネスを展開したい人は、東京で起業する事も有りですが、も し失敗してお金が無くても食べ物が自給できる環境であれば、失敗を恐れず思いっきり挑戦できると思います。そういったポテンシャルを持っているのが 宮崎県だと思います。
震災後、仕事や暮らしに対する価値観は変わって来ていますし、SNSの浸透により、距離に関係なく誰とでもコミュニケーションがいつでもどこでも取れるようになってきました。「年収」「やりがい」「家族との時間」「趣味」など、何が自分にとって一番重要な価値か?を一度見つめ直してみると、良いかもしれません。